うそ

ばれないうそをついたのに、どうしてほんとのこといったんだろ。あの人の中の自分は変わりたくなかった。もう会えないのだから、もう動かないのだから、ずっと変わらないあの頃の私のままでいたかった。動かない時間の中にしかいないのに。つづきなんていらなかった。あの人に会えない。もうぜったい会ってはいけない。絶対なんて今まで一度もなかったくせに、これだけはちゃんと絶対だからこの世がほんとにほんとに大嫌い。

消えてしまえと思った。あのラインおくったとき。もうあの頃のわたしなんていないんだよと言いたかった。あのひとに、ほんとはわたしに。あなたと電話していると過去の中にもう一人自分がいるような幸福感にさいなまれる。つまり私は死んでない。それがいや。死は復活。私はもう死んでる。だから今こうしている。ほんとうにしにたかった。あなたは分かるんだろうか。私がみた景色も悲しさも。

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