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葛藤


わたしはあなたをどうしても傷つける、それだけは事実で今も変わらない。傷つけない方法がひとつだけあって、それは、あなたに関わらないことだ。


どのつらさげて連絡してきてんだ、って言いたいけれど、言えないのは私は、悪かったと思っているから。私はあなたを傷つけて、あなたは私を殴った。同じようなことをしたあなたとわたしだけど、あなたは悪かったとは思っていない。それがあなたと私の違い。その違いがあるからあなたは連絡してこれた。違いであって、正しいとか悪いとか、どちらのほうが良いというわけではない。むしろ正しさでいうならあなたが正しい。悪かった、そんな言葉がでてくるなら最初からすべきではなかった。私は、間違えた、魔がさしたではすまないほど、そんな言葉がでてくるはずがないくらい、執拗にあなたを傷つけた。あなただってそうだ。悪いことだと分かっていたならそこまでしなかったらよかった。それでもしたのだから、今更悪かったなんて、おかしいんだ。そんな言葉、でてくるはずがない。だけど私は今まであなたにそう思わなかった日なんてなかった。どんなに綺麗な景色を見ても、あなたにも見せたかった、あんなに傷つけてごめんなさいと思ってきた。もしあなたが聞けば大げさだと思うかもしれないけれど、本当に、あなたにごめんなさいと思わなかった日なんてない。ごめんなさいというのは許しを乞う言葉みたいで、すきじゃなくて、でも、あなたに対してそう思ってしまう。もう二度と会うこともないあなたに許してほしいと思うから、ごめんなさいなんて、悪かったなんて、気持ち悪い言葉がでてくるのかと思うと自分が本当に嫌になった。いつからかあなたにありがとうと思うようになった。そしてあなたから連絡がきた。正直よく連絡してこれたなと思う。あんなに傷つけておいて、また会おうだなんて まだ私のことを恨んでいるのかと本気でその時は思ったし、だからこそ会ったほうがいいんじゃないかとも思った。そして少しだけ期待していた。2日間だけでもいい、あなたとこの場所をまた歩けるなら、あなたとまたなんでもない話ができるのなら、賭けてもいいかなと思った。最初の電話でこないことなんとなく分かっていた。でも、この( でも )ということばで過ごした1週間だった。でもくるかもしれない、でもまた殴られるかもしれない、でも、でも、、、来ないでって言わなきゃいけないとずっと思っていた。

私があなたに出会った時にいだいていた気持ちは、あなたと付き合っていくうちになくなっていった。でもまだ少しだけ、ほんの少しだけ残っていたから、あの時、やっぱり来ないほうが良いと思う、と言えた。会いたいけど困っているあなたは見たくない、会いたいから絶対連絡してって言いたいけど言えないのは好きだからだと、送ることができた。


来てって言いたかった。来るなって言いたかった。どっちも言えなかった。あんな気持ち悪い言葉しか伝えられなかった。私の中に今ある欲も憎も、ほんの少しの残心に敵わなかった。ほんの少しなのに、強い、恋は。強いのに、どうしてこの強さに気付かなかった。欲や愛や憎悪に負けた、本当の強さなんて、最初から自分の中にあったのに。わたしはいつもそうだ、自分のことを知らない、真実を見ることをしない。自分がどれだけ愛されていたかも、自分の強さも、しらなかったし、見ようともしなかった。自分で自分に勝手に見切りをつけていたんだ、本当はちがうのに。負けるべくして負けたんだ。

でも、最後は勝った。そう思いたい。自分と彼、2人という見方をすれば私は負けている、でも、今の君も今の私も、今はちゃんと見えている。

わたしはもうあなたを傷つけない。